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ボトックスは人中短縮やエラ張り改善など、さまざまな施術に用いられる薬品です。しかし、後遺症や副作用などはないのか?と心配になる人も少なくありません。
本記事では、ボトックスの後遺症について解説します。参考にしてボトックスへの理解を深め、施術を受ける際の不安を解消してください。
ボトックスとは製剤名であり、本来はボツリヌス療法といいます。ボトックスという名前はアメリカのアラガン社が付けた商標であり、成分名ではありません。ボツリヌス療法は、ボツリヌス菌から抽出したタンパク質であるボツリヌストキシンを有効成分として、筋肉の緊張を和らげる治療法です。美容医療施術だけでなく、医療用にも用いられています。
ボトックスに後遺症はありません。そもそも後遺症とは何らかの症状が残り、治る見込みがないものを指して言うものです。ボトックスには副作用はありますが、あくまで薬品としての作用によるものです。いずれ薬が体から抜けると、それに伴って副作用も消えるので、ずっと残るということはありません。
したがってボトックスには、副作用はあっても後遺症はないと言えます。
繰り返しになりますが、ボトックスにあるのは副作用であり、後遺症ではありません。どのような副作用が生じるかは人によって異なります。また、いずれの副作用も必ず起こるわけではなく、もともとの筋肉のつき方や体質も関係するので、人によって起こったり起こらなかったりします。
したがって、リスクを完全に避ける方法はありません。副作用が起こるかどうかは、打ってみなければわからないということは念頭に入れておきましょう。
ボトックス施術を行うと、腫れやむくみ、内出血などの症状が出る場合があります。これらはボトックスの副作用というよりも、厳密には注射の副作用と言えます。注射針の傷に体が反応し、腫れなどの症状を引き起こすのです。
もし生じた場合も通常は1週間ほどで消失します。またこれらは、ボトックス施術特有の症状というわけではなく、注射やメスを用いた施術の場合につきもののデメリットです。
ボトックス施術にはかゆみの症状を伴う場合もあります。かゆみとなると何らかの異常に感じる人もいますが、上記同様にボトックスの副作用ではなく、注射自体がかゆみを引き起こしているケースが多いです。
通常は腫れなどと同様、1週間ほどで消失します。
多い副作用ではありませんが、アレルギーを発症する人もいます。原因は薬品か、もしくは注射針の金属かのどちらかになります。どちらにしろ症状は共通しており、腫れや赤み、かゆみなどです。
腫れやかゆみなどは、注射を用いる施術につきものの症状です。そのため、アレルギーなのか注射自体の腫れやかゆみなのか判断がつきづらい場合もありますが、アレルギーの場合は比較的長引く傾向にあります。治るのに1ヶ月程度かかる場合もあります。
急激に症状が進行するなど、深刻な事態になることはまれです。しかしあまりにも症状が強かったり長引くようであれば、病院にかかる必要があります。
ボトックスは頭痛を引き起こすこともあります。ボトックスの成分そのものが原因ではなく、ボトックスの作用によって顔を動かす筋肉のバランスが一時的に不安定になることが原因です。
一般的には2週間程経つと筋肉のバランスがとれて頭痛も治まります。しかしまれに悪化して、めまいなどの症状に繋がる可能性があるため、ひどいようであれば病院にかかりましょう。
ボトックスはもともと筋肉を弛緩させる作用であるので、ボトックスを打った部位は力が入りづらくなります。
とくに、エラボトックスなど噛むときに使う筋肉にボトックスを打った場合、噛む力が低下することがあります。
とはいえまったく動かないというわけではなく、通常時よりもやや力が要る程度です。また、ボトックスの効果が切れると次第に噛む力も戻ってきます。
ボトックス治療は、顔が左右対称になるように仕上げるにあたって技術が要る施術です。
元々人間の顔はそっくり左右対称というわけではなく、筋肉量やパーツの位置がわずかに異なっています。ボトックスを打つ際は、その左右差を考慮した上で施術を行うべきです。
しかし施術を行う者の技術力が低い場合、左右差に対して適切な位置・量でボトックスを打てないことがあります。結果として、仕上がった顔に不自然な左右差ができてしまうのです。
ボトックスの効果が切れると顔は元に戻ります。しかし言い換えると、元に戻すにはボトックスの効果が切れるのを待たなければならず、時間が必要です。また、次回施術を受ける場合は、クリニックや医師の変更を検討した方が良いでしょう。
皮膚がたるむのも、ボトックスのリスクのひとつです。ボトックスは筋肉を弛緩させる作用があるので、とくにエラボトックスの場合、筋肉が緩むことで皮膚が余ってしまい、たるみとなって現れるのです。
極端にたるんで見えてしまう例はまれですが、いずれにせよボトックスの効果が切れればたるみは元に戻ります。
ボトックス施術によって、表情が上手く作れなくなることもあります。ボトックスには筋肉を弛緩させる作用があるため、打つ場所を間違えると表情を作る筋肉が動きずらくなってしまいます。
まったく表情が作れなくなるわけではありませんが、とくに笑う際に不自然な表情になってしまいます。これもボトックスの作用が切れると、元に戻ります。
ボトックスはスポック・ブローを引き起こすケースもあります。スポック・ブローとは眉毛外側過度挙上とも言い、眉尻だけが不自然に吊り上がってしまう症状です。
スポック・ブローは表情じわなどを消す際に、額や眉の周辺にボトックスを打つことで発症します。これは前頭筋という額の筋肉の外側への注入不足が原因です。前頭筋は外側の方が若干広いため、ボトックスを打つ際は外側にもしっかりと打たなければなりません。しかし施術者が未熟で、その点を失念していると筋肉の働きに差が発生し、スポック・ブローを引き起こすのです。
また、眉間の余剰皮膚が多い場合もスポック・ブローを引き起こすケースがあります。余剰皮膚が多いと、シワをとることで眉毛間の距離が過度に広がるため、眉間の位置が内下方に押し下げられ、相対的に眉毛外側が挙上してみえてしまうのです。
スポック・ブローもボトックスの効果が切れることで解消しますが、額や眉毛外側にボトックスを追加注入することで表情のバランスをとることも有効です。
上記の症状がでた人は、施術を受けたクリニックに相談するとよいでしょう。
ボトックス治療を受けられない人もいます。以下に当てはまる場合は、ボトックス治療を避けてください。
上記の65歳という年齢制限は、アラガン社が「65才以上は有用性が低く、リスクの方が高い」と説明しているためです。
クリニックごとに異なりますが、多くのクリニックではある程度、施術を受ける人に条件を設定しています。そのため、求めれば誰でも必ずボトックスを受けられるわけではなく、クリニック側から施術を断られるケースもあります。そのため、クリニックにあらかじめ条件を確認しておくことが重要です。
避けたいことですが、ボトックス施術を受けて失敗するというケースは起こり得ます。そうなった場合、解決策としては「薬の効果が切れるまで待つ」ということになります。
ボトックス施術の失敗とは量が過剰に多かったか、もしくは打つ場所が適切ではなかったかのどちらか、あるいは両方です。しかし何らかの施術によって一度体内に入れた薬を後からすぐに抜くということは困難であり、現実的ではありません。したがって、薬剤の効果が消失するのを待つという方法がもっとも確実かつ安全という結論になってしまうのです。
ボトックスのリスクを低減する、もっとも有効な方法は信頼できるクリニックを選ぶことです。腕の確かな医師と丁寧にカウンセリングを行うことにより、適切な位置・量のボトックスを打ってもらうことができます。内出血や腫れなども施術者の腕に左右されることが多いため、経験豊富な医師であればあるほど、術後の経過は良くなります。
ボトックスには後遺症こそないものの、副作用はさまざまなものがあります。いずれも時間が経てば治りますが、治すためには待つことが要求され、一定期間は副作用を抱えて生活しなければなりません。
そうならないためのもっとも重要なポイントは、信頼と実績のあるクリニックで施術を受けることです。「どこで施術しても同じだ」などと考えず、じっくり考えてクリニックを選びましょう。
初期研修終了後、NTT関東病院麻酔科、TIクリニック(美容皮膚科)等を経て、2018年にCHRISTINA CLINIC銀座の院長に就任。2016度よりアラガン施注資格認定医。
CHRISTINA CLINIC銀座は特に「小顔」「痩身」「美肌」に力を注いでおり、「切らずに」「すぐに効果が期待できる」施術をメインに提供しております。2020年3月には、「JeisysAward2019」にて、医療ハイフ年間施術数日本一のクリニックとして表彰されました。